桶川に移り住んで雑感
2012/03/31
江森 忍
私は結婚と同時にいやおうなしに桶川の住民となった。なんで桶川に?と自問自答しながらである。それでも荒川べりをサイクリングしたり、土手の早春の草摘を楽しんだ。
そこから見える富士山の雄大さに感動したり雑木林の渕に流れる湧水をみつけて驚いたり、秋には山栗拾い、春には桜見と四季折々豊かな自然に触れ、又、地文研での新たな桶川との出会いに結構、満足しているこの頃である。
しかし当初生活面での物の考え方、習慣の違いにずいぶんと悩まされたものである。今回は、その二,三を取り上げてみたい。
その第一は、食べものである。私の両親が結婚式のあと桶川の家にきてご馳走になったものの内にうどんがあった。両親は驚いた。結婚の祝いにうどんが出た。しかも冷たいつけ麺だと、四国に帰って皆に話したらしい。
埼玉ではうどんはメインである。祝い事であれ、悲しみ事であれ、冠婚葬祭における料理の最後にうどんはつきものである。各家庭でもつい最近まで家の中心人物による手打ちうどんが打たれ、家族がそれを喜んで食べるという光景がよくみられた。うどんはまさに埼玉の御馳走なのだ。四国の両親や私は、うどんに対する気持ちはそれほど重くはない。軽い食材としか考えていないのだ。ちなみに食べ方としては讃岐うどんのそれと同じでだしをきかせた薄味の汁麺である。
埼玉でうどんがこんなにも食べられるのはなんといつでも小麦が豊富に生産されることである。関東平野は穀倉地帯である。そこで穫れる小麦を原料とするうどんが生産されるのはごく自然なことで、長い歴史の中でその食べ方もいろいろと工夫されてきたのだと思う。
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