伝統芸能文化の振興シンポジウム ~繋げたい!桶川の伝統芸能~
長編ドキュメンタリー映画
故郷の歌舞伎を継いだ子どもたち
檜枝岐歌舞伎 『やるべえや』
時代に流されずに連綿と続いてきた檜枝岐歌舞伎の姿を追った映画だったが、この上映に当たっては当会の堀口長治副会長が、檜枝岐歌舞伎の座長である星長一氏と昵懇の間柄というご縁により上映の機会を得たものである。伝統芸能の振興という桶川市協働のまちづくり事業の支援を受け、桶川市市民生活部自治文化課の共催ということで実現したものである。
檜枝岐歌舞伎は昔のままの姿を貫き、時代の流れに変化してきた中央歌舞伎には無いものが昔のままに残されていて、中央歌舞伎からわざわざ見学に来ることもあるという。
この映画は精力的に取り組んでいる座長の星さんの活動を追いながら、継承に熱意ある村人たちの姿そのものを写している。
星さんは村の役場を定年前に退職し、伝統歌舞伎の伝承に精魂を込めている。( いま、伝えておかなければ…… )という思いで、指導に当たっている姿には畏敬の念を禁じえない。映画は教える大人たち、懸命に学ぶ子どもたちの日々を3年にわたり記録したものである。
大雪の大晦日に、一人の年寄りが腰をかがめて神社に参拝に来るところから始まるが、遂ケ岳の草木を潤す雪解け水、川を包む朝霧や紅葉のブナの森など檜枝岐村の美しい光景が紹介される。その恵まれた環境の中で歌舞伎を通して、村をあげて子どもたちを育てている。演技やセリフを覚えながら、自然に社会的なルールも学ぶことになる。
村が一体となって伝統文化を守り、暮らしよい理想郷を作っている映像は素晴らしい。額に汗して教える村人、それに応えようとする子どもたちの眼差しには誰もが感動したことであろう。
美しい自然とともに暮らす檜枝岐の人たちが如何に伝統芸能を守っているか、守ることの大切さを考えさせられた。それと同時に人としてどう生きるか、故郷を如何に守るかという確かな道筋を教えられたドキュメンタリー映画でもあった。
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