“仮面の女神”の謎

 首の後ろに左右二本の支えのネンドをつけているが、支えは無くても頭部は絶対に落ちない構造になっており、まったく必要はない。あえて二本の支えをつけていたのは、男性のシンボルと気付かせないトリックの支えではないだろうか。もし支えであるというならば、くびれ部分の丸い穴は尿道を含む男性器の裏側の左右は分かれる部分を大きく拡大して支えと見せかけている、カモフラージュの巧妙な製作者のテクニックではないだろうか・・・。さらに頭部の十文字と水平な帯は、単なる帯ではなく、象をも引き止めると言われる女性の髪の毛を束ね、子供を作ってくれた男性のシンボルを確りと繋ぎ止めている絶妙な表現ではないだろうか。

 また、尻の部分にある二つの丸い球は、まさに男性の精子を作るその物ではないか。何故気付かなかったんだろう。表の顔、仮面ばかりに気を取られて、背面はまったく意識していなかった。ただの仮面の女神の土偶を作り上げるところだった。縄文の製作者の絶妙な性の表現を危うく見過ごすところだった。製作者は後世の人間を惑わす、恐れ入った縄文の芸術家である。

土偶裏面土偶表面
 私は考えた。この仮面の女神(ヴィーナス)は若い男性が作ったものに違いない。天を向く自分の男性シンボルをあえて頭につけ、“俺が作った子供だ”、“俺達の子供だ”、そう喜びを表してはいないだろうか。表の顔のヴィーナスは「私は女よ」と、女性器を覆い隠すことなく表し、膨らんだ腹は「私には子供が出来たんだよ」と誇らしげに両手を広げ喜びを表してはいないだろうか。

 ヴィーナスを作った夫は自分の妻の大らかさを恥ずかしがって、仮面で妻の顔を隠したのではないだろうか・・・。

 私は思った。縄文時代の性の大らかさ、愛する妻へのいたわりの仮面、妊娠し、子供の出来た喜びを精一杯込めて、表の妻と背面の自分を表現して、“喜びの女神”を“夫婦和合の女神”を製作したのだと・・・。

 妻は太いその二本の脚で大地を踏みしめ子供を支え、仮面の内側には縄文のヴィーナスにも負けない微笑をした、若い妻の顔が隠されているんだと。一見して分からない程の夫婦愛に満ちた仮面の女神である。時間が無く、急だったが作って良かった。

 仮面の女神よ、「見て・見て」とよく誘って呉れたよ。お蔭で仮面の謎が私は解けたよ。
ところで縄文のヴィーナス(パンタロン姿の)よ、ゴメン!今、私は仮面のヴィーナスの事で一杯なんだ。そう機嫌を悪くしないで呉れ。その変わり作る時は、その細工の無い美しいヴィーナスの顔を必ず探し出して見せるから。その自慢の長い脚、パンタロンルックを、も少し長く作って上げるから。


 

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを書こう!

名前:
Eメールアドレス:
コメント:
ファイル
評価:

画像の英字5文字を入力して下さい。:
パスワード:

携帯サイトのページ


PC版と同じURLです
URLをメールで送る