桶川小学校の二宮金次郎像をみて

杉井 昭雄


 平成24年6月19日、小川会長と桶川小学校を訪れる機会があった。校門の正面を入ると左側に、統合により元・南小学校から移設された二宮金次郎像が聳えている。私は以前から、この像が建立された時代は金属不足で“コンクリート製だ”と、少し軽く思っていた。

「ちょっと風化しているが、間違いなく御影石製だ」と小川会長に教えられ、よく観ると確かに白い御影石製の像だった。

桶川小学校の二宮金次郎像

 地元生まれの小川会長の説明によると、この像は昭和15年(1940年)の、《皇記二千六百年》を記念して桶川町の建築職業仲間が桶川小学校へ寄付した像とのことだ。後日調査の結果、台座裏側には寄付者42名の名前が刻まれて在った。(別記・資料参照)
設立当時は「さぞ光沢ある見事な石像だったろうナ」と改め眺めて考えた。昭和15年の時節柄、コンクリート製だと邪推していたが、とんでもない!おそらく既成の鋳型で製造した銅像より、ずっと高価値なモノだったろう、と見方が変わった。

 私の先入観では校庭の金次郎像といえば銅像が定番。“何故この桶川小学校は石像か?”を考えた。桶川周辺の地域には昔から石加工を得意とする石工職が多く存在していたのではないかと推測し、泉福寺の金剛力士像を連想した。“あの仁王像も、他所では見たこともない石造りだ”と。

 想えば、桶川小学校の像は銅ではなく石像の為に戦時の金属供出令(昭和16年8月30日公布、9月1日施行)には触れず残った。そして、今も昔ながらに小学生を見守り続けている。

 この金次郎像は、勉学や道徳の象徴は勿論のことだが、“幸運と平和のシンボル像”とも言えるだろう。

 

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